ゲームを適正価格でレビュー

元・地元最強のゲームテスターが、★の代わりに適正価格でレビューします。

「Outer Wilds」を適正価格でレビュー

ゲーム概要

タイトル Outer Wilds
ジャンル アドベンチャー、探索
開発元 Mobius Digital
販売元 Annapurna Interactive
リリース 2019年5月28日
日本語対応

翻訳済み

定価 2,970 円
購入価格 1,542 円
適正価格 2,000 円

 

Outer Wilds」は宇宙飛行士として星々を調査し、架空の太陽系に散らばった謎を解き明かすアドベンチャーゲーム

ここでは、できる限り面白さを損なうネタバレ要素を避けて評価する。

この世界の地球「木の炉辺」

評価

本作に対する世間の評価は「宇宙探査」というゲームデザインの希少性によるものだと感じる。

というのも、このゲームのシステムやバランスは名作と呼べるほど面白いものだとは思わないからである。

「宇宙の無重力空間を飛び、不思議な星を探検する」というのが本作の面白さの全てであり、それ以上のものはないように感じた。

高難度なゲーム進行

本作の進行は主に「発見」と「調査」に分けられる。

まずは星を「発見」し、上陸して「調査」する。調査の中で土地を「発見」し、また「調査」する。これを繰り返してより深みへと潜るのが基本となる。

ここで重要なのは、「発見」がなければ「調査」ができない、ということである。

このゲームにはあらかじめ「~へ行く」というようなチェックリストは用意されておらず、発見があって初めて「まだ調査できるものが残っています」というマークが付く。

これは所謂「おつかいゲー」になるのを防ぐものでありこれ自体に問題はないが、チェックリストを補完するシステムが不十分なのである。どこをどれだけ探索すれば良いのかが分かりづらいため、一通り進行すると「ゴールの見えない旅を続ける」という現象に陥ってしまう。

実際に自力だけで調査をコンプリートした人はどれくらいいるのだろうか。「まだ調査できます」マークはもっと簡単に付いても良いだろう。それによって面白さが損なわれるとは思えない。

宇宙空間のシミュレーション

重力周りの挙動は非常に良くできていて、実際の宇宙における物理法則を忠実に再現していると思う(宇宙科学に詳しいわけではないが)。

例えば重力がある場所から離陸するとき、重力圏を出るまではゆっくりだが出てしまえばスッと軽くなり一気に高速飛行が可能になる。

宇宙ものの作品で度々触れられる「重力のありがたみ」が、ゲームで自分が体験することでより一層感じ取りやすくなっている。

 

ブラックホールの周辺が歪んで見えたり、日光との位置によって変化する惑星の見え方も面白い。

グラフィック

星をロックオンするUIが、星が遠ざかる際は赤く、近づく際は青く表示される。これは実際のドップラー効果に倣った良デザインだ。

宇宙空間

ゲームエンジンがUnityということもあってか、グラフィックは粘土細工のようなクオリティになっている。マテリアル設定や色彩、ライティングはとても良くできているので、これはテクスチャへの投資不足、シェーダーやエンジンの問題が大きいだろう。

宇宙という壮大な舞台を描写するならば、より写実的なグラフィックにしてこそ迫力が出たと思う。

確定バグ

ゲーム外(例えばブラウザなど)でマウスを操作するとコントローラーの一部ボタンが効かなくなるバグがある。これによって装備を使用できなかったり星をロックオンできなくなり、メニューに戻って解消しなければそれ以降の進行がかなり困難になる。

コントローラー操作が推奨されているので、このバグが現在まで放置されているのは大きな問題だろう。

評価まとめ

宇宙オタクのゲーマー向けであり、万人におすすめできるゲームではない。ゲーマーでも自力だけでクリアに到達するのはかなり難しいと思う。

義務教育レベルの宇宙に関する知識や量子のちょっとした話をかじっていないと、システムやストーリーが余計に難しく感じるかもしれない。もしくは、このゲームが宇宙に興味を持つきっかけになるかもしれないが。

上でも触れたゲーム進行の難しさがかなりネックになっており、これが適正価格を下げた主な理由となる。不満点が改善されたリメイクが出れば2倍以上の価値を持つ名作になることは間違いないだろう。