ゲーム概要
タイトル |
Cyber Hook |
ジャンル |
プラットフォーム |
開発元 |
Blazing Stick |
販売元 |
Graffiti Games |
リリース |
2020年9月25日 |
日本語対応 |
一部翻訳済み |
定価 |
1,520 円 |
適正価格 |
500 円 |
「Cyber Hook」はフックを操り三次元空間を駆け抜けるプラットフォームゲーム。
移動するほど加速するハイスピードさが特徴で、各レベルのクリアタイムは国内と世界のそれぞれのランキングで競うことができる。
Steamストアページでは日本語非対応となっているが、実際には対応されている。
追加レベルや新ギミックが入ったDLC「Lost Numbers」が2022年に発売された(日本語未翻訳)。
評価
プラットフォーマーには大きく分けてニ種類ある。一つはここでも触れた「WHAT THE CAR?」のように、少し複雑な操作で単純なフィールドを移動してクリアタイムを競うレースタイプ。
もう一つは「Celeste」のようにシンプルな操作(前後左右とジャンプのみ等)で複雑なフィールドをすり抜ける「精密プラットフォーマー」と呼ばれるタイプ。
なんと本作はこの(一般的には)相容れない対称的な要素が混ざっている。それもかなり具合の悪い感じに。
概要の通りタイムアタックがあるし、ゲームの進行にもある程度のスピード(ハイスコア)が求められる。それでいてフィールドはまさに立体イライラ棒といった感じで行動が制限され、操作も複雑である。
ハイスピードという単語から「スタイリッシュなパルクール」を期待すると肩透かしを喰らうだろう。難易度が高くてもそれ相応の達成感があれば良いのだが、死にゲーとしても面白さは感じなかった。
操作難易度が高い
前後左右とジャンプのコントロールに加え、一人称視点による高精度の視点操作が求められる。この視点操作もフックとシューティングのニ種類があり、瞬時に使い分ける必要がある。
レベルに床がないのはもはや当たり前であり、当たると死亡する壁に囲まれていることもある。
フックの扱いに慣れるまではかなり苦戦するだろうが、後述するようにその習得ができるようなレベルデザインになっていないのがまた問題である。
本作のレベルは大まかに分けて二種類ある。一つは冒頭の画像のように床のない広い空間で、浮いたブロックを伝って行くもの。もう一つは室内を思わせる窮屈な廊下を、壁や柱にぶつからないように進む「イライラ棒」タイプ。まずはこのパターンの少ない単調さが本作をつまらなくしている。
ゲームバランスにおいても、「死にゲー」のように難しすぎるレベルとチュートリアルかと思うほど単純なレベルが多くを占めていて両極端である。
一般的なプラットフォーマーでは、複数のルートが用意されている中で最短のものを探したり「急がば回れ」でゆっくりクリアする、というレベルデザインが多い。ところが、本作では一通りの難しいルートしか用意されてないことも多い。「早くクリアするための難しさ」ではなく、普通にクリアするだけでも難しくなっているのだ。
これは個人的な感想になるが、謎解きのような進行方向がわかりにくいレベルもありこれが特につまらないと感じた。スピード感溢れるアクションでテンポよくクリアしたいのに、それをさせないのは少々センスを疑う。
レベルデザインの悪さは、Steamのレビューでも「本編はつまらないからユーザーエディットのレベルを遊べ」と言われているほどである。実際私もいくつかのレベルに関しては、一般人が奇抜さを狙って作ったファンメイドのような印象を受けた。
詰みやすい
レベルをクリアするとタイムによってクリスタルが加算され、次のレベルが解放される。また、クリスタルの累計に応じてワールドが解放される。
ワールドはさておきこのレベル解放の方法は至極一般的だし、普通のゲームでは特に問題にならない。しかし先述したようにFPSに慣れてない人にはクリア自体が難しいレベルすらある。クリアできないと次のレベルに進めず、ワールドも解放されないという完全な詰み状態になりやすい。全てのレベルを遊ぶことすら難しいとなると、人によってゲームに対する価値がかなり変わってしまうだろう。
さらにレベルをクリアできたとしても、ある程度早いタイムを出してクリスタルを多く集めないと終盤のワールドを解放できず、ここでもまた詰みが発生しやすい。
事実、レベルが進む毎にランキングの母数も減少しており、クリアしたプレイヤーが減っているのがわかる。最初のレベルは国内で300人ほどクリアしているが、最終的には50人程度になっている。さらに厄介なのが、序盤でも難しいステージがあるということである。一般的には徐々に難易度が上がっていくものだが。
一人称視点が合っていない
本作では壁走りもできるが、向いている方向によってはカメラが壁に接近しすぎて画面が全て壁に覆われてしまう。どこを向いて走っているのか、そもそも走っているのかすらもわからなくなるのだ。壁走りというと壁を水平(前後)に移動するかと思われるだろうが、実際には垂直(上下)に移動することの方が多く、これも方向感覚を失ってしまう。
先述したイライラ棒タイプのレベルでは、一人称視点のため自身の喰らい判定がわかりにくく、周囲の状況も把握しづらい。「糸通しゲーム」を糸の視点からやるような気分であり、全く楽しいとは思わなかった。
単調な色使いのデザインのため奥行きもわかりにくい。プラットフォーマー(特に精密プラットフォーム)に2D作品が多く、同じフックアクションの「スパイダーマン」が三人称視点である理由がよく分かった。
UIボタンの配置が悪い
ポーズ画面やリザルト画面のUI配置が画面の左端に寄っており、マウス操作の場合はカーソルを大きく動かす必要がある。リスタートするにしても次のレベルに進むにしてもマウスを正面に戻すので、これがかなり無駄な動作になる。
リスタートを繰り返すほど面倒に感じるので、いっそポーズからリスタートせず自死しようとするものの、今度は落下死判定のボーダーラインが低くリスタートするまで時間がかかってしまう。
DLCレベルは、本編のワールドと同じく一定数のクリスタルを集めると解放される。しかし、その案内がゲーム内のどこにもないので多くのプレイヤーがSteamのレビューでも解放されない旨を報告している。
DLCの各ワールドを解放するにもなぜかゲームを再起動する必要があり、作りの粗っぽさが目立った。ちなみに本編だけではストーリーが完結せず、DLCが実質的な完結編となる。
DLCではブロックの見た目やBGMが変わるが、ステージの基本的な構造は本編と変わらず、本編のレベルデザインが悪いだけにDLCの方がマシという感じだった。しかし、最後のボス戦はかなりつまらない。最初から最後までゲームシステムを全く活かせていないようなレベルデザインだった。