ゲームを適正価格でレビュー

元・地元最強のゲームテスターが、★の代わりに適正価格でレビューします。

「みんなで推理」を適正価格でレビュー

ゲーム概要

タイトル みんなで推理
ジャンル 推理、クイズ
開発元 PushForward
販売元 PushForward
リリース 2024年12月1日
日本語対応 ネイティブ
定価 880 円
適正価格 1,000 円

 

「みんなで推理」は「はい・いいえ」で答えられる質問を繰り返し、特定の固有名詞を導き出す推理ゲーム。問題の提示と質問への回答はAIによって行われ、さながら「Akinator(アキネイター)」の逆バージョンである。

標準で実装されている「オフィシャル問題」のほか、ユーザーが作成した「オリジナル問題」もある。シングルプレイとオンライン対戦の両方に対応。

インゲーム画面

評価

AIの精度が低く、シングルモードで真面目にプレイするのはおすすめできない。

価格が安いのでプレイはしやすく、オンラインマルチでパーティー的な遊び方をする分には楽しめると思う。

回答の精度が低い

本作の評価を下げている主たる原因の一つ。

前提として、大雑把すぎる質問に対しては不精確な回答が返ってくることもある。しかし、かなり具体的な質問に対しても誤った回答が返ってくることがあり、ゲームバランスが大きく崩れている。

私が遭遇した例では、キャラクターを当てる問題で「神木隆之介が声優を担当している?」という質問に対して「はい」と返答し、正解が「宗介(崖の上のポニョ)」だった。宗介どころか崖の上のポニョにすら神木隆之介は出演していない。他には「名前が漢字?」という質問に対して「はい」と答え、正解が「レイ(北斗の拳)」というのもあった。

特定の質問(例えば年代に関することなど)に対して不精確なだけならばそれを避ければ良いが、色々な箇所で虚偽の情報が紛れているのが最悪である。

誤答のフィードバックができない

上述の問題点に加えて良くないのが、誤答を修正するためのフィードバックを送れないことである。そのため、今後もこのクオリティのままなのか、精度が上がっていくのかわからない。

基本的にはAIに任せ、ミスを人力で修正するのが望ましいように思える。

アキネイターではこの点を解消しているので、本作でも改善が待たれる。

ジャンルが少ない

現在実装されているジャンルは基本的に「キャラクター」「地名」「人名」となっている。一つのジャンルにかなり多くの主題パターンがあるとは言え、ややジャンルの少なさが気になった。

ユーザーオリジナルでは「曲名」が多く作られており、個人的には「映画作品名」などもオフィシャルとして実装されると良いと思った。

問題のジャンル

「Cyber Hook」を適正価格でレビュー

ゲーム概要

タイトル  Cyber Hook
ジャンル  プラットフォーム
開発元  Blazing Stick
販売元 Graffiti Games
リリース 2020年9月25日
日本語対応 一部翻訳済み
定価 1,520 円
適正価格 500 円

Cyber Hook」はフックを操り三次元空間を駆け抜けるプラットフォームゲーム

移動するほど加速するハイスピードさが特徴で、各レベルのクリアタイムは国内と世界のそれぞれのランキングで競うことができる。

Steamストアページでは日本語非対応となっているが、実際には対応されている。

追加レベルや新ギミックが入ったDLCLost Numbers」が2022年に発売された(日本語未翻訳)。

フィールド画面

評価

プラットフォーマーには大きく分けてニ種類ある。一つはここでも触れた「WHAT THE CAR?」のように、少し複雑な操作で単純なフィールドを移動してクリアタイムを競うレースタイプ。

もう一つは「Celeste」のようにシンプルな操作(前後左右とジャンプのみ等)で複雑なフィールドをすり抜ける「精密プラットフォーマー」と呼ばれるタイプ。

なんと本作はこの(一般的には)相容れない対称的な要素が混ざっている。それもかなり具合の悪い感じに。

概要の通りタイムアタックがあるし、ゲームの進行にもある程度のスピード(ハイスコア)が求められる。それでいてフィールドはまさに立体イライラ棒といった感じで行動が制限され、操作も複雑である。

ハイスピードという単語から「スタイリッシュなパルクール」を期待すると肩透かしを喰らうだろう。難易度が高くてもそれ相応の達成感があれば良いのだが、死にゲーとしても面白さは感じなかった。

操作難易度が高い

前後左右とジャンプのコントロールに加え、一人称視点による高精度の視点操作が求められる。この視点操作もフックとシューティングのニ種類があり、瞬時に使い分ける必要がある。

レベルに床がないのはもはや当たり前であり、当たると死亡する壁に囲まれていることもある。

フックの扱いに慣れるまではかなり苦戦するだろうが、後述するようにその習得ができるようなレベルデザインになっていないのがまた問題である。

レベルデザインが悪い

本作のレベルは大まかに分けて二種類ある。一つは冒頭の画像のように床のない広い空間で、浮いたブロックを伝って行くもの。もう一つは室内を思わせる窮屈な廊下を、壁や柱にぶつからないように進む「イライラ棒」タイプ。まずはこのパターンの少ない単調さが本作をつまらなくしている。

ゲームバランスにおいても、「死にゲー」のように難しすぎるレベルチュートリアルかと思うほど単純なレベルが多くを占めていて両極端である。

一般的なプラットフォーマーでは、複数のルートが用意されている中で最短のものを探したり「急がば回れ」でゆっくりクリアする、というレベルデザインが多い。ところが、本作では一通りの難しいルートしか用意されてないことも多い。「早くクリアするための難しさ」ではなく、普通にクリアするだけでも難しくなっているのだ。

とあるレベルの全景。右奥の空洞からL字にニ回曲がるだけという手抜きっぷり。

これは個人的な感想になるが、謎解きのような進行方向がわかりにくいレベルもありこれが特につまらないと感じた。スピード感溢れるアクションでテンポよくクリアしたいのに、それをさせないのは少々センスを疑う。

レベルデザインの悪さは、Steamのレビューでも「本編はつまらないからユーザーエディットのレベルを遊べ」と言われているほどである。実際私もいくつかのレベルに関しては、一般人が奇抜さを狙って作ったファンメイドのような印象を受けた。

詰みやすい

レベルをクリアするとタイムによってクリスタルが加算され、次のレベルが解放される。また、クリスタルの累計に応じてワールドが解放される。

ワールドはさておきこのレベル解放の方法は至極一般的だし、普通のゲームでは特に問題にならない。しかし先述したようにFPSに慣れてない人にはクリア自体が難しいレベルすらある。クリアできないと次のレベルに進めず、ワールドも解放されないという完全な詰み状態になりやすい。全てのレベルを遊ぶことすら難しいとなると、人によってゲームに対する価値がかなり変わってしまうだろう。

 

さらにレベルをクリアできたとしても、ある程度早いタイムを出してクリスタルを多く集めないと終盤のワールドを解放できず、ここでもまた詰みが発生しやすい。

事実、レベルが進む毎にランキングの母数も減少しており、クリアしたプレイヤーが減っているのがわかる。最初のレベルは国内で300人ほどクリアしているが、最終的には50人程度になっている。さらに厄介なのが、序盤でも難しいステージがあるということである。一般的には徐々に難易度が上がっていくものだが。

レベルセレクト画面
一人称視点が合っていない

本作では壁走りもできるが、向いている方向によってはカメラが壁に接近しすぎて画面が全て壁に覆われてしまう。どこを向いて走っているのか、そもそも走っているのかすらもわからなくなるのだ。壁走りというと壁を水平(前後)に移動するかと思われるだろうが、実際には垂直(上下)に移動することの方が多く、これも方向感覚を失ってしまう。

先述したイライラ棒タイプのレベルでは、一人称視点のため自身の喰らい判定がわかりにくく、周囲の状況も把握しづらい。「糸通しゲーム」を糸の視点からやるような気分であり、全く楽しいとは思わなかった。

 

単調な色使いのデザインのため奥行きもわかりにくい。プラットフォーマー(特に精密プラットフォーム)に2D作品が多く、同じフックアクションの「スパイダーマン」が三人称視点である理由がよく分かった。

UIボタンの配置が悪い

ポーズ画面やリザルト画面のUI配置が画面の左端に寄っており、マウス操作の場合はカーソルを大きく動かす必要がある。リスタートするにしても次のレベルに進むにしてもマウスを正面に戻すので、これがかなり無駄な動作になる。

リスタートを繰り返すほど面倒に感じるので、いっそポーズからリスタートせず自死しようとするものの、今度は落下死判定のボーダーラインが低くリスタートするまで時間がかかってしまう。

ポーズ画面
DLCが粗悪

DLCレベルは、本編のワールドと同じく一定数のクリスタルを集めると解放される。しかし、その案内がゲーム内のどこにもないので多くのプレイヤーがSteamのレビューでも解放されない旨を報告している。

DLCの各ワールドを解放するにもなぜかゲームを再起動する必要があり、作りの粗っぽさが目立った。ちなみに本編だけではストーリーが完結せずDLCが実質的な完結編となる。

DLCではブロックの見た目やBGMが変わるが、ステージの基本的な構造は本編と変わらず、本編のレベルデザインが悪いだけにDLCの方がマシという感じだった。しかし、最後のボス戦はかなりつまらない。最初から最後までゲームシステムを全く活かせていないようなレベルデザインだった。

「遺失物センターの日常」を適正価格でレビュー

ゲーム概要

タイトル 遺失物センターの日常
ジャンル 探し物、シミュレーション
開発元 Rogue Duck Interactive
販売元 Rogue Duck Interactive
リリース 2024年11月25日
日本語対応 翻訳済み
定価 700 円
適正価格 500 円

「遺失物センターの日常(Lost But Found)」は空港に届けられた落とし物を管理し、客に返すシミュレーションゲーム

ベルトコンベアで流れてきた遺失物を机に並べ、受け取りに来た客に正しくかつ素早く返却していくことでチップを稼ぐ。稼いだチップでアイテムを購入すると、返却時間の猶予を延ばす効果などを得られる。

各タスクの成否に応じてスコアが加算され、リーダーボードのランキングに乗る。

落とし物を並べた机と受け取りに来た客

評価

コンセプトは面白いが、ゲームバランスの悪さとバグの多さで大きく損をしている。

リリース直後にも何度かアップデートが入っており、今後これから挙げる不満点も改善される可能性があるが、このアップデートでもエンバグが起きているので正直あまり期待はできない。

 

余談だが、一般的にもリリース直後にアップデートすると完成度が低い状態で発売したことになり、メーカーとしての信用が落ちてしまう上、デバッグをほとんど行えていないのでエンバグの発生率もかなり高くなる。

難易度のバランスが悪い

本作の難易度は4段階あり、ベルトから遺失物が流れる頻度や客の数が変化する。最も難易度の高い2つのモードをプレイしたが、この2つのレベルにかなり差があるのが一つ目の問題点だと思った。

最高難度はつねに操作が止まないほど忙しく、机もすぐに(文字通り)埋まってしまう。捌ききれないと当然すぐにゲームオーバーになるだろう。ところがその次の難易度は驚くほど簡単で、ある注意点さえ知っていればいつまで経ってもゲームオーバーにならないエンドレス状態になる。そのため、時間さえかければ簡単にランキング入りできてしまう。

リリース直後のアップデートにバランス調整に関する表記があったので期待したが、そこに書かれていたのは「この難易度の差をより大きくする」というものだった。どうしてそうなってしまったのか、あまりにも謎である。

  • 日常モードは現在より簡単になり、混乱モードはより難易度が上がりました
ユーザビリティに欠ける

ゲーム内一日の終了時、ショップなどでゲームプレイを補助するアイテムを購入できる。また、家に一定額を仕送りしなければゲームオーバーになる。この仕送り額は日を追う毎に増加し、マップ画面で確認できる。

マップ画面

これだけなら問題ないが、なぜかショップ等の施設は「一度出入りすると次の日までは再度入れない」という仕様がある。

例えばショップにアイテムを見に行った後、残りのお金で家に仕送りができるか確認するために一度マップに戻るとする。そうするともうその日はショップで買い物ができなくなるのである。

しかも、家に仕送りすると強制的に次の日が始まってしまうという不親切仕様もあるので、この問題を回避するには買い物の前に仕送りを差し引いた額を計算しておくか、アイテムの価格を覚えておく必要がある。明らかに無駄な手間である。

 

また、お金が一定額貯まると「銀行」に行けるようになり、そこでゲームを終了させることができる(銀行に行かずに終了させることもできるが)。そしてまた、この銀行にも問題がある。

銀行

銀行にアクセスするとテキストウィンドウで二択を迫られエンディングが変化するのだが、このとき「エンディングをキャンセルしてゲームを続行する」ことができない(試しにウィンドウの周囲をクリックしたりEscキーを押しても出られなかった)。

この銀行の仕様はこのウィンドウを見るまで説明されないので、お金が貯まったプレイヤーがウキウキでアクセスしようものなら強制終了してスコアを絶たれるという完全な罠になっている。

 

ちなみに「空港」は遺失物センターがある場所だと思われるが、どのタイミングでもアクセスできない。謎の存在である。

遺失物以外のアイテムの視認性が悪い

冒頭の画像にはいくつか遺失物ではない物(上述したアイテム等)がある。しかし他の遺失物との見た目に違いが無いので、一目ではどれがそうかわからないだろう。これらのアイテムも遺失物と同じく移動させることができるので、間違えて移動させてしまうこともある。

これが意図されて設計されたものかどうかはわからないが、正直ゲームプレイにおいては邪魔な要素でしかないと感じた。

チップ回収は無駄な要素

冒頭の画像の右側に青い紙幣が並んでいるが、これがチップである。

チップは回収しないとどんどん机を圧迫するが、一日の終わりに全て自動で回収されるので無理して回収する必要もない。チップの回収はクリックするだけで、操作は至って単純である。

このチップを回収するという要素が必要なのかもかなり疑問である。

バグが多い

ここまでに挙げたものは修正される望みの薄い仕様に関する問題点であり、バグやバグっぽい挙動を挙げるとキリがないほど多い。その中のいくつかはプレイに支障のあるものもあるので、真面目に遊びつつハイスコアを目指すのは向いていない。

マップ画像にある錠前アイコンの場所は今後のアップデートで解放されるらしく、実質的に早期アクセス作品のような完成度になっている。あくまで最低限プレイはできるという印象を受けた。

「キキキキキ」を適正価格でレビュー

ゲーム概要

タイトル キキキキキ
ジャンル ローグライク、タイピング
開発元 IGeGeGaeIm
販売元 IGeGeGaeIm
リリース 2024年11月15日
日本語対応 ネイティブ
定価 1,200 円
適正価格 200 円

 

「キキキキキ」はキーボードのキーがそのまま戦闘ステージになるローグライクゲーム

キーを押すとその位置に向かって弾を飛ばすことができ、次々と襲いかかる電子機器を撃退していく。

戦闘画面

評価

とにかく操作性が悪く、それによるパニックを楽しむ「バカゲー」という印象を受けた。

コンセプトは良いので、真面目にプレイするなら改善を待つのが吉だろう。

強化画面
キャラクターの操作性が悪い

プレイヤーキャラクターを操作できるのは矢印キーのみで、キーバインド設定はない

つまり、プレイする際は右手で矢印キーを操作しながら左手だけでシューティングをすることになる。ホームポジションから手が大きく離れるので、自分がどこに向かって撃っているのかわけがわからなくなってしまう。

それでいて「Space」がある段は使わないので親指を持て余す。他のゲームでもよくあるように「Space」をジャンプにし、その左右が移動になっていればかなりマシになっていただろう。

対応はUS配置のみ

画像を見てわかる通り、ゲーム上に登場するキーボードはUS配列である。日本で普及しているJIS配列と比べると、US配列は2段目以外の右端が一つ少ない。

US配列にない文字(例えば「BackSpace」の左隣にある「¥」)を押すと何も反応せず、空白として扱われる。「Enter」や「]」は反応こそするものの、実際の位置と違う場所に撃つので混乱する。

ゲームの性質上外側のキーは頻繁に使うので、右側がかなり貧弱になってしまいとても遊びづらい。

「Carto」を適正価格でレビュー

ゲーム概要

タイトル Carto
ジャンル パズル、アドベンチャー
開発元 Sunhead Games
販売元 Humble Games
リリース 2020年10月27日
日本語対応 翻訳済み
定価 2,050 円
購入価格 615 円
適正価格 2,000 円

Carto」は地図の断片を自由に組み合わせ、地形を変化させながら冒険するパズルゲーム。

タイトルの読み方は「カート」で、本作の主人公の名前である。ちなみにこの名前は「Cartographer(地図製作者)」という単語が元になっている。

マップ画面

評価

クリア時間は10時間ほど。パズルなのでかなり個人差があるだろう。

パズルの傾向としては「気付き」と「試み」が重要になる。

キャラクターのセリフや周りの風景にヒントが隠されており、そこに気付けない限りはいつまでもクリアできない。また、色々な行動を試す根気強さも必要になる。

高品質な日本語テキスト

本作の日本語翻訳はかなり品質が高い。そのおかげでキャラクターのセリフに隠されたヒントを理解しやすく、ストーリーにも没入できるようになっている。

エンドクレジットを見たところ、どうやら日本語のローカライズは「Kakehashi Games」という日本のチームが担当しているようだ。

もう少しヒントがあっても良いかも

先述した通りヒントに気付けない、またはヒントを正しく解釈できないとどん詰まりになってしまう。

本作は序盤が特に難しく、進行するにつれて簡単になっていく。序盤で詰まって投げ出してしまうのはもったいないので、ヒントには改善の余地がありそうだ。

「Superliminal」を適正価格でレビュー

ゲーム概要

タイトル Superliminal
ジャンル パズル
開発元 Pillow Castle
販売元 Pillow Castle
リリース 2020年11月6日
日本語対応 テキスト翻訳済み
定価 2,050 円
適正価格 1,500 円

 

Superliminal」は「知覚が現実になる」夢の世界から脱出する一人称視点の3Dパズルゲーム。

オブジェクトが見えている状態のまま「リサイズ」される、遠近法などの視覚トリックを用いたパズルが特徴。

2023年にはマルチプレイヤー機能が追加。

間近で持った缶を遠ざけると大きいままになる

評価

クリア時間は5時間程度だった。パズルはシンプルで量も少なめで、ゲームプレイを通して不思議な感覚を体験するという側面が強い。

パズルは難しそうに感じるが、基本的には「遠くのものは小さく、近くのものは大きい」という遠近法のルールを覚えていれば問題ない。後は注意深い観察力や推理力が必要なことが多く、ひらめきや試行に頼るタイプではない。

メインストーリー以外の遊び

ゲーム内でもアチーブメントを確認できることから、実績や隠し要素の多様さも本作の魅力だと思う。

クリア後もレベル毎に繰り返しプレイできるので、探索(というほどでもないが)して実績を解除したり、一度目に見れなかった場所に寄り道する遊び方もできる。

一見とても長い廊下のように見えるが…

また、追加モードとして最低限の動作でクリアを目指す「チャレンジ」モードや、プレイしながら各ポイントの制作秘話を聞ける「開発者コメンタリー」モード等があり、やりこみ要素は多い。

ただこういった収集やチャレンジをするならば、クリア後にでも良いのでダッシュ操作が欲しいと思った。

日本語の対応範囲

プレイ中に再生されるアナウンスには日本語の字幕を表示できるが、ゲーム内の張り紙などに描かれた英文はそのままである。クリアするために必要な情報は無いが、先述した通りゲームのボリュームがそこまで多くないため、ある程度読めると面白さが増す。

また、一部チュートリアルの日本語がやや不自然なこともあるので、柔軟に解釈する必要があるかもしれない。

評価まとめ

三次元空間を移動するゲーム(二次元媒体)」という材料を上手く活用しており、ゲーム性はかなり面白い。繰り返しになるが、特に後半になるにつれてレベルのボリュームが尻すぼみになっているように感じた。

また、基礎から応用への導線が甘い印象があり、パズルが突然難しくなることもある。難しいパズルを初見で解けばより大きな達成感を得られるが、ヒント機能もないので人によっては難しすぎると感じる可能性がある。

段階的に難易度が上がるようにもう少しパズルのボリュームがあれば、適正な価格設定だと言えただろう。

「DREDGE」を適正価格でレビュー

ゲーム概要

タイトル DREDGE
ジャンル アドベンチャー、釣り
開発元 Black Salt Games
販売元 Team17
リリース 2023年3月31日
日本語対応 翻訳済み
定価 2,800 円
購入価格 1,680 円
適正価格 2,500 円

DREDGE」は船に乗って漁と探索を行うアドベンチャーゲームクトゥルフ的な「正体不明の怪物」や不気味な雰囲気も特徴の一つとなっている。

ちなみに、タイトルの「Dredge」は英語で「浚渫(水底の土砂を取り去る工事)」「探し出す」という意味。

継続的にDLCも出ており、2024年8月には第三弾が発売された。

ゲームの舞台となる海

評価

価格

本編の魚をコンプリートして、プレイ時間は約30時間

ゲームシステム自体は面白いが、DLC抜きでのコンテンツのボリュームは多くない。それを踏まえた上で、定価は概ね妥当だと思う。

DLCはそれぞれ個別に価格設定がされており、特段お得感はない。あくまで本編を気に入った人への追加バージョンだと思って良いだろう。

ちょうど良い難易度のパズル

本作にはいくつかパズルがあるが、どれも難しすぎず簡単すぎず丁度良かった。

パズルは本筋とは関係なく、クリアして得られるものも実績やコレクションの類なので、仮にできないからと言って詰まることもない。

漁場に関しての仕様が不明瞭

それぞれの魚がどのような場所に発生するかは決まっており、図鑑に「沿岸」「浅瀬」等と表記されている。

しかし、実際には特定のポイントにしか棲息していなかったり、そもそもそれらの区別がユーザー側からはわかりにくかったりする。

これもストーリー自体には関係ないが、もし実績解除を狙うなら攻略情報を調べた方が良いだろう。

UI設計が不親切

UIは基本的にまとまりが良いが、2点だけ不満がある。

一つ目はインゲームのHUDに関して。本作はマップ上にピンを打つことができるが、そのピンはマップでしか確認できない

島では入江などが細かく入り組んでいおり、海は逆に何もないため方角を見失いやすいのだ。その上霧や雨で視界が悪いこともあり、目的地に向かうためにマップを頻繁に開くことがあった。

また、初期から持っているアイテム「望遠鏡」を使うと周囲の漁場に何の魚がいるかわかるのだが、その際に「ピンを使って漁場をマークする」ことができず不便に感じた。

 

二つ目は釣り画面。釣りはタイミングよくキーを押すミニゲームになっており、そのためのUIは画面左側に表示される。採れた魚は画面右側の「船倉」に運ばれ、空いたインベントリに収納することで持ち帰ることができる。

基本的に一つの漁場からは複数の魚が採れるため、この2つの表示は交互に見ることになる。つまり、視点が画面の両端を行き来するせいで無駄に疲れる(NPC等と物を受け渡すときも同じだが、あまり繰り返すことはないためそれほど気にならない)。優先度の低い船を左側に寄せ、釣りを中央に表示するべきだろう。

また、釣ったことのある魚でもシルエットでしか表示されず、形と名前を覚える必要があるのも不親切だと感じた。

釣り画面
操作性がやや悪い

操作方法はキーボード&マウス、コントローラーの両方に対応しているが、どちらも若干操作し辛いと感じた。特にインベントリでは空マスへの自動補正が弱いようで、ある程度自分で整理する必要がある。

キーボードでは使うキーの配置がまとまっておらず、初期状態のままでは使いづらい。キーバインドを上手く設定できれば良いが、始めた直後ではいまいちどの操作に対応しているのかが分かりづらい。さらに、いくつかの操作はキーを押しても反応していないようだ(使う必要もないものだが)。

評価まとめ

様々なゲーム要素が複合されているが、その各々がバランスよくまとまっており、基本的には良質なゲームと言える。

ゲーム内容が全て海上で完結しているため景色に飽きそうになるが、ボリュームが大きすぎないことでその点をカバーできている。しかし、やり込むほど細かい部分の粗が目立つのも事実であり、個人的にもDLCまではプレイする気にならなかった。